≫ 検査科

 昭和51年当紀南病院(当時南牟婁民生病院)に勤務し始めて22年が過ぎ、木造だった建物も鉄筋に様変わりしました。当時検査室は、一般検査3名、生化学2名のスタッフでしたが、現在は総勢13名の大所帯になりました。
 検査の内容も1件1件の手作業から、この20年の間に大幅な自動化が進み又、検査科自体も、一般、生化学、細菌、神経生理、病理、と専門分野に、大きく、細分化されてきました。
 診療報酬の包括定額払い制などを初めとして、検査を取り巻く環境は年々厳しくなって行くと思われます。
 検査科に所属するスタッフ個々の更なるレベルアップを目標としながら、この地域の医療の為日々の業務に精進して行きたいと、思っております。

一般検査室

血球計算機の前での血液塗抹 一般検査室は、現在、血液一般、尿一般、検便、血糖、血液凝固関係、心電図、肺機能、 心エコ-、腹部エコ-、血液ガス分析、輸血のクロスマッチ検査、髄液検査、腹水、胸水 検査骨髄検査など窓口業務が主体です。
 故に、外来患者の結果待ちの検査が多い為迅速で正確なデ-タを出す事を念頭に、血液、尿、ガス分析、血糖、血液凝固などでは精度管理を行い、機械と試薬の管理に気を配っています。
 97年より血算と白血球の5分類の同時測定が可能な自動分析機が導入され、クロス検査においては不規則抗体が検出された場合、同定まで行える体制にしています。
 また、血算、 尿、髄液、凝固、心電図、クロスマッチ検査、ガス分析などは24時間体制で、全検査技師が行えるようにしています。

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生化学検査室

オートアナライザーの操作中 生化学検査室は自動分析装置での血清酵素・蛋白・脂質・含窒素成分及び電解質検査項目の分析を中心として、専用機による免疫血清・血中薬物濃度・感染症・腫瘍マ-カ-・タンパク分画・ヘモグロビンA1Cの測定などを行います。その際、機器及び試薬の状態をチェックする為、精度管理試料の測定も同時に行い、信頼できるデ-タを報告するように努めています。
 また、定期的に外部精度管理に参加することで、精度の維持、向上と共に、検査そのものの見直し、改善するための参考としています。
 そして、三重県の臨床検査標準化委員会への参加により、検査デ-タの施設間差をなくす目的で、血清酵素6項目によるJSCC勧告法による測定を行い、将来的には地域における検査デ-タの一元化を目指しています。

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細菌検査室

寒天培地に菌を塗抹する 細菌検査室は現在、一般細菌、結核菌、真菌(一部)の同定、感受性試験の検査を行っています。
細菌検査は結果が出るまでに数日かかることから休日の検査にも対応しています。その他、院内感染情報レポートの提出や細菌検査の情報として細菌室新聞の発行などやっております。
 また、全自動細菌検査システム、マイクロスキャン「ウオークアウェイ」を導入し細菌検査の自動化、測定の標準化、迅速化、結果報告とその有効利用を目的として細菌検査室の合理化と充実を図っていこうと考えています。

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病理検査室

 病理検査を簡単に説明しますと、手術・内視鏡などで採取された体内の組織や、喀・ 尿・子宮細胞などを化学的に処理して顕微鏡標本を作製します。作製された標本は顕微鏡を用いて拡大し、組織の構造や細胞の詳細を調べ、病態(良性・悪性など)ならびに病気の種類(炎症・腫瘍など)を判定するための検査を行います。
 病理検査は機械化・自動化が困難で熟練を要し、殆どのプロセスを手作業で行いますので検査結果を報告するまでには多くの日数を要しますが、良性・悪性の判定や手術の可否、治療の判定には欠かせない重要な検査です。


テレパソロジーシステムの全景 当院病理検査室は、平成6年9月に院内の空室を利用して開設されました。翌年4月には新たに専用の検査室、剖検室が院内中庭部分に増築され、よりよい環境で業務が行えるようになりました。
 平成10年4月からは日本臨床細胞学会の認定を受け、細胞診が院内で行えるようになり、また同年10月には遠隔病理診断(テレパソロジー)システムが導入され、術中迅速病理診断を開始しました。この遠隔病理診断システムは、三重大学医学部附属病院病理部をはじめとした県内の基幹病院と、当院など常勤の病理医がいない病院間をデジタル回線で結ぶ病理診断支援システムで、顕微鏡画像の送受信をほぼリアルタイムで行うことが可能です。
 また病理業務以外にも、毎年冬~春期にはスギ・ヒノキなどの花粉飛散量を測定し、 紀南地域の観測地点として三重大学医学部耳鼻咽喉科学教室にデータ提供を行い、花粉症対策の一助として役立てられています。

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神経生理検査室

 この地域では、まだまだ神経生理学的な検査は知られていませんが、神経内科、脳神経外科、整形外科、内科、小児科などの先生方に検査オーダーを頂いています。
いろいろなニーズに答えられるように検査項目の種類を増やしたり、先生方の期待に応えられるように技術の研磨と、知識の習得に励んでいます。
検査項目は脳波、神経伝導検査、大脳誘発検査(聴覚誘発電位、体性感覚誘発電位、視覚誘発電位、事象関連電位など)サーモグラフィー、重心動揺検査、眼振検査、自律神経機能検査(SSR、CVR-R、チルトアップテスト、バルサルバテスト)、糖尿病神経障害検査、24時間血圧検査、ホルター心電図検査等を行っています。
データー管理は、できるだけデジタルデータで光ディスクなどに保存し、ペーパレスにむけて対応できるようにしています。

学術活動

 PDF 83.9Kb

使用機器/説明
ビデオシステム・デジタル脳波計(バイオロジック社・シーグラフ) てんかん発作時の解析に威力を発揮します
誘発電位検査装置(日本光電・ニューロパック8) 聴覚、視覚、体性感覚の伝導路障害の同定に役立ちます
筋電計(ニコレー社・バイキングⅣ) 末梢神経に由来するしびれ、脱力、痛みや、筋原性の障害の同定に役立ちます
サーモグラフィー(日本電子データム・サーモビュアー) 皮膚の温度を測ることによって、視覚的に異常を見つけることができます
重心動揺計(ATM社・アキュスウェイ) ふらつきの客観的な指標となります
眼振計(NEC・ニスタモグラム) 眼振を客観的にとらえられます
電子瞳孔計(浜松ホトニクス・イリスコーダー) 自律神経の検査に使用されます
非間欠的連続血圧測定装置(コーリン社・ANS508) 連続した脈拍ごとの血圧、心拍の関係から自律神経機能を推測します
連続血圧測定システム(テルモ社・ES-H531) 血圧の日内変動がわかることによって、降圧剤の投与方法などの指針になります

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